大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)1580号 決定

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人井上正雄の弁護人内田八三郎、同横地秋二の上告趣意並びに被告人井上正雄、同中山武男の弁護人端元隆一の上告趣意第二点について。

しかし、原判決は、結局証拠に基き被告人井上正雄並びに原審相被告人井上源蔵等の本件賍物の運搬は被害者のためになしたものではなく、窃盗犯人の利益のためにその領得を継受して賍物の所在を移転したものであって、これによって被害者をして該賍物の正常なる回復を全く困難ならしめたものであると認定判示して賍物運搬罪の成立を肯定したものであるから、何等所論判例と相反する判断をしていない。されば、所論は、いずれも原判決の認定と異った事実関係を前提とするものであってその前提を欠き刑訴四〇五条の適法な上告理由として採用し難い。

被告人両名の弁護人端元隆一の上告趣意第三点について。

所論は、量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

そして、記録を精査しても、本件につき被告人等に対し同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、刑訴四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例